先週のレッスンではある生徒さんとThe Japan Timesの記事を読みました。
Saturday, June 4, 2011のもので一面の"Kan delayed-exit hint restarts feud"という記事でした。
英字新聞・雑誌などを定期的に読んでいると、海外のニュースがわかるのはもちろんのこと、その英文記事のスタイルなども参考 になることが多く、特に意識をしていなくとも勉強になることが多いのです。 記事、コラムによっては「このライターさんはこういう英語の使い方が多いな」と気づくだけでも、英文の書き方を学ぶ糧になる と私は考えます。
さて、今回の記事はこれまで読んできたものとは全く毛色の変わったものでした。 一文の構成がとてもわかりやすく、日本語で言ったらこういうことなのだな、と容易に想像がつく言い回しが多い記事でした。 ...と同時に簡単に書いてあるからこそわかりにくいという部分もあって、「?」と思うことの多い今回の記事でもありました。
今回の記事が、これまで読んできたものとは圧倒的に違う点として、まずこの記事は日本語の記事がもとになっているということ 。 よく、日本語は最後まで読まないと(聞かないと)全部の意味がわからない、と言います。情報がどんどん後ろに足されていく感 じです。 この記事は英語で書かれていたので、さすがに最後まで読んだら実は否定文だった、なんてサプライズは起きないものの、長い英 文ではtoでの繋ぎが多く、andで繋げたから長くなったものも多くありました。 すごく不思議なのですが、英文記事を読んでいたのに、読み終わった後には、あたかも日本語記事を読んだ感覚が残るのです。
実際に誰かが言ったことを示す""(クォーテーション)内の文も英語としてはどことなく不自然な感じがするものが多いです。
考えてみれば当然のことで、これを言っている人がもともと英語で話しているわけではないからです。
例えば次の文。
"From the viewpoint of the public, I think (Kan and Hatoyama) need to make sure there is no inconsistency and prevent political confusion"
Kan and Hatoyamaがカッコで補われているところ、すごく日本語らしいですね。日本語ではいちいち主語がなくても聞き手は誰が主語なのかの察しがつきます。 全体でも元の日本語が想像つくかと思います。 prevent political confusion はneed to以下の並列部なのでしょうが少し遠くて、読んでいてややわかりにくさが残ります。
こう書いてくると、こういう「もともとが日本語だった記事」を英語で読む意味がないように感じてくるかもしれませんが、こう いうものを読むことで身につきやすいことがあります。 それは決まりきった単語・用語です。 例えば、"Chief Cabinet Secretary"というのは日本語で何か、は今すぐ出てこなくても、記事上ではすぐその後に"Yukio Edano" と出てくるので、「あぁ、これは官房長官という意味か」とすぐわかります。 こういう単語は一度覚えてしまえば、あとはもう何度出てきても同じ単語なので楽です。
今回の記事でもいくつかの政治関連の単語が出てきましたので挙げてみました。
Prime Minister | 総理大臣 |
Tokyo Electric Power Co., | 東京電力 |
Chief Cabinet Secretary | 官房長官 |
Democratic Party of Japan (DPJ) | 民主党 |
no-confidence motion | 不信任決議案 |
the Lower House | 衆議院 |
party member | 党員 |
lawmaker | 議員(一般的な言い方) |
opposition party | 野党 |
Liberal Democratic Party | 自民党 |
the ordinary Diet | 通常国会 |
deficit-covering government bonds | 赤字国債 |
the draft of the second supplementary budget | 第二次補正予算案 |
ほかにもいわゆる日本語らしい表現は英語でどう訳されているのかなど、日英の勉強にもなりそうですね。
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今回、このJapan Timesを生徒さんと読んでいて、生徒さんは4th edition、私は3rd editionを持っていたことに気がつきました。3rd editionで書かれていた単語が数箇所、4th editionでは別の単語に入れ替えられて刷られていたようでした。英語とは関係ありませんがちょっとした発見でした(^ ^;)