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Peroxide blondはどんなブロンド?

2011年02月17日 09:33

今日は1月8日(土)のJapan Timesから。
その中のthe Observerのページで故アナ・ニコル・スミス(Anna Nicole Smith)の人生 がオペラになるという記事。

次のような一文があった。
She was a peroxide-blond waitress from the dusty Texas backblocks.
『テキサス州の中でも埃っぽくへんぴな場所でウェイトレスをしていたブロンド娘だった』ことがわかる。
この『ブロンド娘』を示す"peroxide-blond"という表現。
辞書でperoxideと引くと、
―a 過酸化水素で漂白した:a peroxide blond 《口》[derog]髪を脱色した女
…とある。
私が使っているのはリーダースだが、この《口》は口語のことを指す。[derog]とはderogatoryの略で"〈名誉・品格・価値などを 〉そこなう、軽蔑的な"との意味がある。
これでこの語a peroxide blondが口語でネガティブな印象の言葉だということがわかる。

英語を読んでいて(…または聞いていて)少しでも疑問に感じた言葉はこのように辞書を引いてみると、多くのことがわかるのだ 。
素晴らしい学習教材としては意外と見過ごされがちなこの辞書の活用法についてはまたいつか書きたいと思う。

さて、ここで知っておきたいバックグラウンド知識として、更に付け加えると次のようなこともある。

  • まず金髪の女性に対して、ダークヘアーの女性よりも頭が悪い、軽い人などのステレオタイプがあるということ。
    (そこでよく日本語でも『ブロンド娘』などと小ばかにしたような表現が使われるのだろうが、映画「キューティ・ブロンド」[原 題:Legally Blonde]などはこのステレオタイプを逆手にとったサクセスストーリーだ。
    そしてそういうステレオタイプがある中でも、真のブロンドヘアーというのは実は稀少で、マリリン・モンローやヴェロニカ・レイ クのような永遠の憧れ的イメージも消えていない。)
  • そして、日本と違ってアメリカでは、そんなブロンドにするための脱色剤がドラッグストアなどでものすごい大瓶で売られている 、大変安価な物であるということ。

それをふまえた上で再度この"a peroxide blond"という語を見ると、お軽いイメージのブロンドにするまで色を抜く、それも美容 室に行くのでもなく、ドラッグストアの安い脱色剤で自分でやる…そういったイメージが浮かんでくるわけである。

更にwaitress from the dusty Texas backblocksと後に続き、その安っぽさを、よりいっそう強調したものとなっている。

まず"dusty Texas backblocks"。
テキサス州は広大だが、強いなまりがあることでもよく知られていて、しかもdusty=埃っぽい、 backblocks=奥地と書かれている。
いなか者を強調したい表現ととれる。

そして"waitress"という単語。
ウェイトレスという職業を特別軽視しようと言うわけではないが、アメリカで10代からの若い人が 初めての仕事、バイトをしようとなると、とりあえずやってみようとなるのが飲食店での仕事だという印象を持つ人は少なくない 。
もちろんウェイトレスから経営者にまで登りつめてビジネスウーマンになる人もいるかもしれないが、この直前のa peroxide- blondという形容から、ここではそういうストーリーを期待させるwaitressではないのだ。

最初の一文: She was a peroxide-blond waitress from the dusty Texas backblocks. だけでここまでこの主人公のキャラクターを設定しているわけである。
こういう文が積み重なった長めの新聞記事など一つ読み終える頃には、細かいニュアンスがわかるかわからないかで、読んだ後の 印象が大きく変わってくる。
普段何気なく目にしているような単語でもその裏にあるニュアンスを知ると、文章に厚みが出てきて、読んでいる物語の言わんと していることが先に先にと見えてくるようになる。 面倒臭くとも一記事に一文くらいは検証してみて、ニュアンス単語帳なるものを作っていくと良いかもしれない。